令和8年度の税制改正に向け、国税庁が財務省へ提出した「改正意見」の内容が明らかになりました。今回の提言は、納税者の利便性向上(DX推進)と、巧妙化する租税回避への対抗措置が二本柱となっています。

📋 この記事でわかること

  • 国税庁が財務省へ提出した令和8年度税制改正意見の全22項目
  • 外国子会社合算税制(CFC)・183日居住者判定基準など国際課税の主要提言
  • 同族会社の社債利子規制・完全支配関係法人間取引の適正化など法人税関連の提言
  • e-Tax障害時の65万円控除維持・犯則調査デジタル化など実務的変更点

実務上の注目点は多岐にわたります。国際課税では、滞在日数(183日)による明確な「居住者判定基準」の導入や、国外に所在する情報の提出を求める規定の新設が盛り込まれました。また、法人税関連では「完全支配関係がある法人間取引」の隙を突いた事例への対応や、同族会社の社債利子を利子所得に転換して累進税率を逃れる手法への規制強化が示されています。

一方で、e-Tax障害時にやむを得ず書面提出した際の「65万円控除」維持や、犯則調査のデジタル化など、時代に即した救済・効率化策も提案されています。

本意見書で示された全22項目は以下の通りです。

  1. 一定の資本関係がある法人間取引の適正化
  2. 同族会社の社債利子等の範囲見直し
  3. 国外所在情報の提出要請・実効性確保
  4. 事業者のデジタル化促進措置
  5. 申請書等の記載事項の見直し(簡素化)
  6. 納税証明書手数料の納付手段拡充
  7. (未公表項目)
  8. 上場株式等の配当に係る大口株主要件の見直し
  9. みなし配当等の範囲の見直し
  10. 居住者・非居住者の判定見直し(183日基準等)
  11. e-Tax障害時の65万円控除の宥恕規定
  12. 収益事業に係る課税の適正化
  13. 減価償却資産の範囲・償却方法の見直し
  14. 業種番号体系の変更(日本標準産業分類ベース)
  15. 暗号資産等の差押手続の整備
  16. 差押財産の任意売却手続の整備
  17. 外国子会社合算税制(複数税率特例)の廃止
  18. 外国子会社合算税制(法人所得税額)の適正化
  19. 外国子会社合算税制(源泉税)の適正化
  20. 移転価格:取引単位営業利益法へのROA追加
  21. 別表17(4)(国外関連者明細書)への営業資産追加
  22. 国税通則法上の犯則調査手続のデジタル化

改正意見のうち一部は、令和8年度税制改正で実現する見込みですが、今後、実際に改正がなされるのかどうかを注視する必要があるでしょう。

詳細は以下の記事をご確認ください。

✅ 主な改正提言のポイント

  • 居住者・非居住者の判定(183日基準):滲在日数による明確な居住者判定基準の導入が提言された
  • 外国子会社合算税制の適正化:複数税率特例の廃止・法人所得税額・源況税の3点について見直しが提言された
  • 同族会社の社債利子等の範囲見直し:累進税率回避スキームへの対応が示された
  • 国外所在情報の提出要請:国外に所在する情報の提出を求める規定の新設が含まれる
  • e-Tax障害時の救済規定:やむを得ず書面提出した場合の65万円控除維持の宥恁規定が提言された

⚠️ 注意点

本記事の内容は国税庁が提出した「改正意見」であり、実際の税制改正の内容とは異なる場合があります。令和8年度税制改正で実現する見込みの項目もありますが、今後の立法動向を注視する必要があります。

よくある質問(FAQ)

国税庁「改正意見」とは何ですか?
国税庁が毎年度、翔年度の税制改正に向けて財務省に対して提出する提言・要望書です。実際の税制改正に反映されるものもありますが、すべてが実現するわけではありません。
令和8年度改正意見の二本柱は何ですか?
納税者の利便性向上(DX推進)と、巧妙化する租税回避への対抗措置が二本柱です。国際課税では183日居住者判定基準の導入、法人税では同族会社の社債利子規制などが盛り込まれています。
外国子会社合算税制(CFC)について何が提言されていますか?
複数税率特例の廃止、法人所得税額の適正化、源況税の適正化の3項目が提言されています。いずれも租税回避への対応が目的です。