令和6年10月に国税庁で行われた国税庁・全国国税局徴収部長(次長)会議資料資料 の内容を抜粋してご紹介します。
滞納の未然防止及び整理促進
1 滞納の未然防止
適正・公平な課税は、徴収がなされて初めて実現されることから、滞納の未然防止・早期徴収については、国税組織全体として取り組む必要があり、賦課・徴収の緊密な連携の下、積極的に取り組んできたところである。
滞納の未然防止については、令和6年6月27 日付徴徴2-28 ほか14 課共同「滞納の未然防止等に関する取組について」(指示)に基づき、賦課・徴収の一層の緊密な連携の維持・強化に取り組んでいるところ、引き続き、次の施策を実施していく。
○ 期限内納付及び納税についての納税者利便の向上に関する広報・周知の充実
○ 納期限前後における積極的な納付指導の実施
○ 滞納整理における納付指導等
○ 調査時における滞納の未然防止等
○ 源泉所得税の未納に対する賦課・徴収の連携・協調
2 滞納の整理促進
令和5事務年度においては、納税者個々の実情を的確に把握した上で、期限内に納税した納税者との公平性の確保を図る観点から、納税に対する誠実な意思が認められない者等については、時機を逸することなく滞納処分を実施するなど厳正に対処する一方、納税の猶予等の法令の要件に該当する場合には、納税緩和措置を適用するなど、適切に滞納整理に取り組んできたところ。
令和6事務年度においても、引き続き、納税者個々の実情に即しつつ、法令等に基づき適切に対応するという基本方針の下、①大口・悪質事案に対する厳正かつ毅然とした対応、②処理困難事案に対する質的整理の実施、③消費税事案の滞納残高圧縮に向けた確実な処理、④猶予制度の的確な周知・広報及び適切な適用等を重点課題として、より効果的・効率的な徴収事務運営に取り組んでいく。
租税滞納状況と滞納発生割合の推移
徴収事務の高度化への取組
徴収事務を取り巻く環境が大きく変化している現状において、限られた人員の下、滞納者個々の実情に即しつつ、法令等に基づく適切な滞納整理を実施し、引き続き、滞納の整理促進を図っていくため、データやデジタル技術の活用を前提とした税務コンプライアンスを最大化するためのビジネスモデルへの移行を念頭に、徴収事務の更なる効率化・高度化を図っていく。
国際徴収への取組
1 基本的な考え方
近年、経済社会がますます国際化している中、国際的租税回避行為に対する国民の関心が大きく高まっている。国税庁としては、国内のみならず国際的な動きも十分に視野に入れた適正・公平な課税と徴収を実現することにより、税務行政に対する国民の信頼を確保していく必要があり、国際徴収への取組は国税組織全体として取り組むべき課題の一つである。
徴収共助規定を含む租税条約の相手国は年々増加しているほか、都市4局、札幌局及び福岡局の徴収部に国際税務専門官が設置されるなど、国内外の国際徴収の環境整備が進んでいる。
こうした状況を踏まえ、徴収部においては、徴収共助や情報交換を積極的に活用するなど、国際徴収を適切に実施して確実な徴収に努める必要がある。
2 令和6事務年度の取組方針
国際徴収については、引き続き、一定の事務量を確保の上、局間支援を積極的に実施し、ノウハウの蓄積・還元等を進めるとともに、賦課部門等と緊密に連携しつつ、租税条約等に基づく情報交換制度等を積極的かつ効果的に活用して、租税条約等における徴収の共助の要件に該当する場合には、確実に共助要請を行う。
また、租税条約等の相手国等から共助要請があった場合は、我が国の国税に関する執行と同様に適切に対応する。
法的手段の積極的な活用
1 法的手段の積極的な活用
大口・悪質事案に対する厳正かつ毅然とした対応や、処理困難事案に対する質的整理の実施に当たっては、法的手段を積極的に活用することとしている。
詐害行為取消訴訟等の原告訴訟の提起や第二次納税義務の賦課などの法的手段を的確に活用するためには、証拠の散逸や期間制限の徒過の防止の観点から、対象事案を早期に把握し、時機を失することなく法的検討や補完調査等を行うことが重要である。
そのためには、事案担当者、統括官及び審理専門官等が法的手段の活用の意識を持って処理方針の検討を行い、的確に原告訴訟端緒事案などを把握する必要があり、特に、法的手段を活用した滞納整理の検討を任務とする審理専門官等は、積極的に訟務官と連携して処理方針を検討する必要がある。
2 滞納処分免脱罪の確実な告発
財産の隠蔽等により国税の徴収を免れようとする特に悪質な滞納事案については、滞納処分免脱罪の告発を行い、国税当局の厳正な姿勢を示すことが重要であり、これにより徴収回避行為を抑制する効果が期待できる。
引き続き、徴収職員に対する滞納処分免脱罪についての意識付けを徹底し、滞納整理の過程において、滞納処分免脱罪に該当する事実を把握した場合には、局間支援も活用しつつ、関係機関との緊密な連携の下、確実に告発する必要がある。
徴収関係の税制改正
令和6年度税制改正に係る「所得税法等の一部を改正する法律」(令和6年法律第8号)が第213 回通常国会において可決・成立し、併せて関係政省令の一部改正も行われ、令和6年3月30 日に公布された。
このうち、徴収関係の改正に関する主なものは次のとおりであり、これらの改正に係る事務の取扱いについては、追って関係通達等を改正することとしている。
1 偽りその他不正の行為により国税を免れた株式会社の役員等の第二次納税義務の創設
偽りその他不正の行為により国税を免れ、又は国税の還付を受けた株式会社、合資会社又は合同会社がその国税(その附帯税を含む。)を納付していない場合において、徴収不足であると認められるときは、
・ その偽りその他不正の行為をしたその株式会社の役員又はその合資会社若しくは合同会社の業務を執行する有限責任社員(その役員等を判定の基礎となる株主等として選定した場合にその株式会社、合資会社又は合同会社が被支配会社に該当する場合におけるその役員等に限る。)は、
・ その偽りその他不正の行為により免れ、若しくは還付を受けた国税の額又はその株式会社、合資会社若しくは合同会社の財産のうち、その役員等が移転を受けたもの及びその役員等が移転をしたもの(通常の取引の条件に従って行われたと認められる一定の取引として移転をしたものを除く。)の価額のいずれか低い額を限度として、その滞納に係る国税の第二次納税義務を負う規定が措置された。
【適用関係】
上記の改正は、令和7年1月1日以後に偽りその他不正の行為により免れ、又は還付を受けた国税について適用される。
2 保全差押えに係る解除期限の見直し
納税義務があると認められる者がほ脱の疑いに基づき一定の処分を受けた場合における税務署長が決定する金額(以下「保全差押金額」という。)を限度とした差押え(以下「保全差押え」という。)又はその保全差押金額について提供されている担保に係る国税について、その納付すべき額の確定がない場合におけるその保全差押え又は担保を解除しなければならない期限を、その保全差押金額をその者に通知をした日から1年(現行:6月)を経過した日までとする見直しが行われた。
【適用関係】
上記の改正は、令和7年1月1日以後にされる保全差押金額の決定について適用される。
年金保険料の滞納処分の委任
1 現状と課題
年金保険料の滞納処分の委任制度については、平成22 年に導入されて以来、国税庁及び国税局において、その活用に向けた積極的な対応をしてきたところである。
今後も、年金保険料の確実かつ効率的な収納体制や組織体制の強化に関する取組の更なる推進のため、滞納処分の委任制度のより一層の活用と、委任を受けた事案の処理促進に向けて取り組むことが必要である。
2 令和5事務年度における取組
年金保険料の徴収強化のために委任制度の更なる活用が求められていることから、令和5事務年度においては、厚生労働省及び日本年金機構との緊密な連携の下、以下の事項に取り組んだ。
⑴ 委任候補事案について、日本年金機構地域代表年金事務所と国税局との間で、委任に向けた必要な調査事項などについての打合せを実施⑵ 日本年金機構が主催する徴収実務に関する研修への講師派遣
3 令和6事務年度における取組方針
令和6事務年度は、引き続き、厚生労働省及び日本年金機構と緊密に連携の上、上記2⑴及び⑵に掲げる事項に取り組み、より一層、制度の活用が図られるよう努める。
また、委任を受けた事案については、ノウハウと専門性を生かし、年金保険料の的確な徴収に努める。
データ活用の推進
1 データ活用の推進
情報技術の進化・普及により、データ活用は、課題の解決や新たな価値創造のための有効なツールとなってきており、国税当局においても、調査・徴収のパフォーマンス向上や事務運営の改善のため、データ活用の推進に本格的に取り組んでいるところ。また、令和8事務年度に導入予定のKSK2は、業務におけるデータ活用を重視して構築することとしており、その導入に向けても、データ活用に関するノウハウの蓄積とスキルの向上を図る必要がある。
これまで、「データ活用推進第二次中期計画」に基づき、全国でデータ活用の推進に係る各種取組を実施しており、今事務年度も、主務課等とシステム部署とが緊密に連携しながら、データ活用を推進するとともに、取組に関する情報共有を行う必要がある。
今事務年度は、第三次中期計画(発展期)の当初事務年度であるところ、これまでの「データ活用推進第一次中期計画」及び「データ活用推進第二次中期計画」において、データ活用に係る人材の育成、体制及びインフラ環境の整備等に取り組んできた結果、一定の進展が認められるところであるが、データ活用推進第三次中期計画では、これまでの施策の骨格を基礎としつつ、「事務運営への実装」、「効果的・効率的なデータ活用」、「データリテラシーの向上・人材の効果的活用」、「推進体制の整備等」を基軸として、データ活用の定着を追求していく必要がある。
2 管理運営事務におけるデータ活用への取組
管理運営事務においては、引き続き、各局の共通テーマを「キャッシュレス納付の推進に向けた取組」と定め、これまで各局で構築した予測モデルについて、令和4事務年度以降に蓄積した利用勧奨手段などの過程データを使用して再評価するほか、庁から還元したアタックリストを活用するなど、更に利用勧奨効果が高い対象者等を抽出することで、効果的・効率的に利用勧奨を実施する。
3 徴収事務におけるデータ活用への取組
徴収パフォーマンスの向上及び事務処理の効率化を図っていくためには、国税情報システムの高度化を見据え、客観的なデータに基づき各種施策等の現状や業務課題を的確に把握・分析した上で、効果的な施策を検討し、効率的に業務を遂行する必要がある。
このため、令和6事務年度においては、第三次中期計画を踏まえて、データ活用の「事務運営への実装」をより一層意識して、引き続き、職員のデータリテラシー向上に向けた取組やデータを活用したパフォーマンス向上のための取組を着実に実施・推進していく。
KSK2・GSSの導入について
1 GSS(ガバメントソリューションサービス)について
GSS(ガバメントソリューションサービス)は、行政機関の業務用端末やネットワーク環境などの業務実施環境を、政府共通の標準的な環境としてデジタル庁が提供するサービスである。国税庁においては、令和7年7月以降、順次GSS環境へ移行し、令和8年6月に全国運用を開始した後、令和8年9月からはKSK2の運用を開始する予定である。
このため、利便性とセキュリティ確保のバランスを踏まえた上で、引き続き、GSS導入に向けた取組を全庁的に進めていく必要がある。
2 KSK2について
(1)KSK2の開発状況
KSK2の開発は、現在、プログラムの作成やメーカーによるテストを進めている段階であり、おおむね順調に進捗している。令和7年3月には、機器も設置し、その後は、プログラム、ハードウェア、ネットワーク、利用者端末などを組み合わせ、本番とほぼ同じ環境で動作を確認する「総合運用テスト」工程に入っていく。
(2)KSK2導入に向けた取組
KSK2は、国税の賦課・徴収の基盤となる「基幹システム」であり、導入の成否によっては、職員の職務遂行のみならず、納税者の申告・納税義務の履行に多大な影響を及ぼすおそれがある。
そのため、KSK2の円滑な導入に向けて、開発作業のみならず、「データ移行」・「外部接続先との連携」といった、全庁的な課題については、全庁的な理解の下、各課の役割分担をしっかりと定め、検討を進めていく必要がある。
なお、事務処理手順の確認を目的として、令和7年10 月から令和8年3月の間、4拠点の業務センター(東京局大手町分室、大阪局大手前分室、金沢局業務センター、福岡局春日分室)において「テスト運用」を実施する予定である。さらに、職員の習熟度の向上を目的として、令和8年4月以降順次、全職員(非常勤職員を含む)を対象とした「研修」を実施する予定である。
国税庁の使命と実績目標等の体系図
キャッシュレス納付の利用拡大等に向けた取組
国税の納付については、納税者の利便性の向上と納税事務・税務執行の効率化を図るとともに、現金管理等に伴う社会全体のコストを縮減する観点から、令和7(2025)年度までにキャッシュレス納付割合を4割とすることを目指している。
また、税務行政のデジタル・トランスフォーメーションの推進の観点から、キャッシュレス納付への移行を加速させていく必要がある。
現金による納付の大半を金融機関の窓口納付が占めていることを踏まえ、金融機関、関係民間団体、地方公共団体等とも連携し、特に、納付機会の多い源泉所得税(自主納付分)を納付している納税者に対するキャッシュレス納付の利用勧奨に取り組む。
【意見交換事項】
限られた予算・定員の中、ターゲットを絞った効率的・効果的な利用勧奨を実施するため、各局のこれまでの取組や分析結果を踏まえ、どのようなアプローチが有効か、ベストプラクティスについて意見交換を行う。
内部事務のセンター化
1 内部事務のセンター化の取組
「内部事務のセンター化(以下「センター化」という。)」は、内部事務について、事務系統横断的な事務処理体制を整備し、署窓口から分離して専担化した組織(業務センター)で、事務と人を集約して処理することで、事務の正確性の確保とともに、事務の効率化を目指すものである。効率化により確保できた事務量については、実地調査や徴収のほか、行政指導やデータ分析など、
環境変化に適切に対応するための事務量に充てることとしている。
令和8事務年度には、KSK2の導入が予定されており、各種事務処理が、全面的にシステムでのデータ処理に移行することとなるが、その基盤となる、申告書等の情報の「データ化」や、修正申告や納税地の異動などがあった場合の「データ更新」などは、業務センターがその主体となる。このように、センター化は、国税組織の事務運営をデジタル時代に相応しいものへと転換する上で基盤となる取組でもあり、着実に推進していく必要がある。
2 令和5事務年度の状況
⑴ 業務センター等の機能
業務センター職員数が増加する中、緊急時対応や職員管理、専門的知識を必要とする事務の増加に対応していくため、業務センター等に審理機能や情報化機能等を設置するなどの対応を行った。
⑵ 事務処理体制
業務センターの円滑な運営のため、事務の簡素化・標準化といったこれまでのBPRの取組に加え、事務系統の垣根を越えた既存事務の見直し、類似事務の統合などの取組を実施するとともに、KSK2導入後の通常期及び確定申告期の事務処理体制について検討を進めた。
⑶ 行政指導
業務センターが納税者のコンプライアンス向上の一翼を担う部署として機能していくため、行政指導事務の運営方法や実施体制について検討を進め、その充実を図った。
3 令和6事務年度の課題
⑴ KSK2を活用した事務運営・事務処理体制の検討
KSK2の導入を見据え、KSK2の機能を踏まえた事務処理体制や事務管理等について検討を進める。
⑵ センターの安定的な運営とBPRの推進事務の共同処理の更なる充実や、BPRの更なる推進を図るとともに、令和8事務年度の業務センターの円滑な全署実施に向けた準備を進める。
⑶ 行政指導の充実
効果的・効率的な事務処理体制や事務処理手順の整備など、行政指導の更なる充実に向けて検討を進める。
⑷ KSK2の導入に向けた準備
KSK2を円滑に導入するため、職員研修やテスト運用の準備を進める。
納税者サービスの再整理について
○ 納税者サービスの再整理について
税務行政のデジタル・トランスフォーメーション(DX)については、「納税者の利便性の向上」、「課税・徴収事務の効率化・高度化等」及び「事業者のデジタル化促進」の三つを柱として取組を進めている。
「納税者サービスの再整理」については、「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」の実現に向けて全体最適を図るという視点に立ち、“納税者目線”をこれまで以上に重視し、「申告要否や手続を調べ、相談し、申告・納付する」といった一連の流れを俯瞰した上で、関係課室で各種施策を包括的に見直すとともに、推進していく。
中長期的課題への対応(管理運営)
○ 令和8事務年度以降の窓口事務の在り方について
管理運営部門の所掌事務のうち、窓口事務など業務センター室に移管されない事務については、引き続き管理運営部門で実施しているところであるが、令和8事務年度のセンター化全署実施に向けて、業務センター室に移管されない事務について、そのあり方の検討を進めるとともに、令和8事務年度以降の新たな体制へスムーズに移行できるよう庁局署における体制整備に取り組んでいく。
また、内部事務のセンター化対象署の総務課及び管理運営部門においては、部門間の相互支援及び繁閑調整を行うなど一体的な運営を実施するとともに、各部門と緊密な連携の下、挙署体制の構築や、非常勤職員の弾力的な運用などにより、職員の事務負担に十分配意した体制を構築する。
延納・物納事務の事務運営等
1 延納・物納事務の事務運営
延納・物納及び納税猶予事務については、令和3事務年度より、事務処理の効率化と統一性・適正性の確保、専門的知識(ノウハウ)の蓄積及び精通者の育成を目的として、専担者を局に集中配置している。令和6事務年度においても、引き続き、都市4局の納税管理官による局間支援も活用しつつ、更なる効率的・統一的な処理等に努める。
また、令和8事務年度の全税務署を対象とした内部事務のセンター化に向けて、必要な体制整備に取り組んでいく。
2 的確な進行管理等及び精通者の育成
延納・物納の事務処理に当たっては、法定の審査期間内に確実に許可又は却下等の処理が終了するよう、引き続き、①管理者による的確な進行管理及び事案管理を行うとともに、②申請者に対する適切な指導及び③局署と財務局(財務事務所)との連携・協調に努める。
延納・物納の申請件数は近年減少傾向にあるものの、的確な事務処理及び高い専門性が求められるため、中長期的な観点から安定的な事務処理が行われるよう、精通者の育成に取り組む。
3 令和6年度の延納・物納の申請状況等
納税貯蓄組合との連携・協調
納税貯蓄組合(以下「納貯」という。)を含む関係民間団体は、適正な申告・期限内納付に対する意識の向上や税知識の普及等を図るための様々な啓発活動に取り組んでおり、税務行政の円滑な執行に寄与している。
国税庁としては、昨今の税務行政を取り巻く環境が一層厳しさを増す状況を踏まえ、納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現していくために、従来以上に団体との連携・協調を図っていく必要がある。
納貯については、地域によっては、単独での活動や組織の維持が困難な団体も散見されており、団体相互及び他の関係民間団体との連携・協調も重要な課題となっている。
そのため、当局において事務系統横断的に必要な体制を整備し、納貯の現状やニーズ等を把握するとともに、納貯の活動に対する職員の意識の醸成を図りつつ、地域の実情を踏まえた上で、他の関係民間団体との橋渡し的役割を担うなど、納貯との連携・協調策を検討・実施しているところである。
なお、本取組を継続し定着させるため、各署で実施されている連携・協調策 を的確に把握した上で、PDCAサイクルに基づき適切に分析・評価を行い、検証結果をその後の施策に確実に反映し実施する。
効果的・効率的な公売事務運営
1 現状と課題
差押財産の評価・公売事務は、
① 滞納者等の権利利益に大きな影響を及ぼすため、適法性・妥当性が強く求められる
② 特に不動産の評価においては、専門的な知識と技能を要する
などの特性があることから、一連の手続に相当の事務量を要しているところ、特定の部署の限られた人員で処理している現状にある。
しかしながら、滞納整理中の事案の中には、差押え中の財産が相当数あることから、滞納の整理促進を図るためには、評価・公売事務を、より一層、効果的・効率的に実施する必要がある。
2 令和6事務年度における取組
令和6事務年度は、これまで取り組んできた各種施策の実施結果及び把握した課題等を検証し、引き続き、以下の事項に適切に取り組むとともに、参加差押えをした税務署長による換価執行制度を一層活用していくことにより、公売事案の処理促進を図る。
⑴ 計画的かつ効果的・効率的な事務の実施
⑵ 各局の実情に応じた処理体制の整備
⑶ 評価・公売事務担当者の人材育成