海外信託を利用した高度な資産承継に対し、司法は「手続の適法性」と「課税の実態」の両面で厳しい判断を下しました(京都地裁令和6年9月26日判決・大阪高裁令和7年4月17日判決)。
本件は、ジャージー島信託の受益権移転や関連会社への債権放棄をめぐり、妻(原告)が巨額の更正処分を受けた事案です。争点となったのは、更正通知書の「理由提示」の薄さです。通知書には、他の相続人が加算すべき贈与額の「総額」しか記されておらず、原告は「具体的な事実が分からず反論できない」と訴えました。
しかし、裁判所は「他の相続人の贈与内容は個人情報であり、守秘義務がある」と指摘。
総額さえ分かれば不服申立ての要否は判断できるとして、理由提示の不備を認めませんでした。一方で、一審判決が「審査請求段階では詳細を明らかにすべきだった」と遺憾の意を示した点も注目に値します。本判決は、複雑な海外信託への課税リスクだけでなく、共同相続人間の情報格差が招く「守りの税務」の難しさを浮き彫りにしています。
本判決の詳細は以下の記事をご確認ください。
