海外口座IRAの配当所得、後から「特例適用」は可能か?

海外資産の所得区分は複雑ですが、一度行った申告を後から是正するのは容易ではありません。米国個人退職口座(IRA)内の配当所得について、確定申告後に「上場株式等の配当特例(申告分離課税)」への切り替えを求めた更正の請求が棄却された事例(令和6年6月13日裁決)を紹介します。

事案の背景:税務署の説明を信じて「雑所得」で申告

被相続人は、調査担当官から「年金(雑所得)に該当する」との説明を受け、IRAの配当を雑所得として期限後申告しました。しかし、相続人は「正しくは配当所得であり、分離課税の特例が適用できるはず」として更正の請求を行いました。

審判所の判断:更正の請求による「後出し」は不可

審判所は、以下の2点から請求を退けました。

  1. 特例適用の厳格な要件: 配当所得の分離課税特例は「確定申告書への記載」が適用要件であり、更正の請求によって新たに選択することはできない。
  2. 信義則の否定: 請求人は「税務署の説明を信頼した」と主張したが、審判所は「納税者が詳細な資料(Ceteraレポート等)を提出せず、自ら年金だと説明したことが誤認の原因」と指摘。説明の誤りは納税者側の資料不足に帰すべきであり、救済の対象にはならないと判示しました。

実務上の注意点

海外資産の申告では、納税者自身の責任で適切な資料を提示し、正しい所得区分を選択することが不可欠です。後からの是正は極めて困難であることを示す、実務上重要な裁決といえます。

本裁決の詳細は以下の記事をご確認ください。

https://izujun-tax.com/ira-dividend-income-tax-special-case-denied