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この記事でわかること(令和5年11月11日裁決(国税不服審判所))
夫婦が持分50%ずつで共有する建物の賃料について、「40:60」で配分する三者間合意を作り、さらに「持分の一部を使用貸借した」と主張した事案。審判所はこれらを一蹴した。
争点は、所得税法第12条(実質所得者課税の原則)の下で、賃料所得が持分割合を超えて合意配分できるかどうか。
審判所は「持分に基づく賃料帰属は所得税法第12条の要請であり、三者間合意や使用貸借の主張は採用できない」と判断した。
共有名義で不動産を所有している場合、夫婦間で「今期は夫の所得が高いから、賃料収入の配分を調整して節税しよう」と考えたことはありませんか?
令和5年11月11日の国税不服審判所の裁決を素材として、共有不動産の賃料帰属のルールを検討しましょう。 この事案では、夫婦が持分50%ずつで共有する建物の賃料を「40:60」で配分する三者間合意を作り、さらに「持分の一部を使用貸借した」と主張しましたが、審判所はこれらを一蹴。「所得税法12条(実質所得者課税の原則)」を盾に、持分割合通りの帰属を命じました。
「なぜ契約書があっても認められないのか?」「持分の使用貸借が否定された論理とは?」 不動産オーナーが知っておくべき、論点がちりばめられています。
裁決文は以下の記事をご確認ください。
審判のポイント
①持分割合が賃料帰属の原則
所得税法第12条の実質所得者課税の原則により、共有不動産からの賃料所得は原則として持分割合に応じて帰属する。合意による配分変更は認められない。
②三者間合意(40:60配分)が否定された論理
審判所は、三者間合意は賃料の取引上の流れを変更するに過ぎず、所得の帰属を変更するものではないと判断した。実質所得者は持分割合に応じた共有者である。
③持分の使用貸借主張が否定された論理
「持分の一部を使用貸借した」との主張についても、審判所は使用貸借の実態が認められないとして退けた。書面上の合意書があっても実質を伴うものでなければ認められない。
実務上の注意点
共有不動産からの賃料所得は、持分割合に応じて各共有者に帰属するのが原則。合意により任意に変更することは、所得税法上、実質所得者課税の原則により認められない。
賃料所得の帰属を変更するには、合意書や使用貸借ではなく、実際に持分自体を移転するか、実質的な経営が変わり、実質所得者が変わる必要がある。
節税目的のために賃料配分を変更する合意は、実質内容を伴わない限り認められない。審判所は書面上の合意より実質を重視する。
Q1. 共有不動産の賃料所得は合意によって自由に配分できますか?
できません。所得税法第12条(実質所得者課税の原則)により、賃料所得は持分割合に応じて帰属するのが原則です。本裁決でも、三者間合意による40:60配分は認められませんでした。
Q2. 持分の使用貸借によって賃料帰属を変更することはできますか?
審判所は、使用貸借の実態が認められないとして主張を退けました。賃料帰属を変更するには、実際に持分を移転するか実質的な経営者変更が必要です。
Q3. 共有不動産の賃料配分を節税のために変更する方法はありますか?
持分割合を変更する(実際に持分を移転する)ことで賃料帰属を変更することは可能です。ただし、贈与税等別途の課税リスクもあるため、総合的な計画が必要です。





