税理士法の小テストを作りました。東京国税局研修資料「令和5事務年度 税理士法」の確認テストを筆者が追加・修正したものです。税理士の方も、税理士志望者の方も、是非、チャレンジしてみてください。
もちろん、ニセ税理士、名義貸しなど様々な税理士法違反に関わる個別の事案においては、別途、税理士法等を確認のうえ、ご判断をお願いいたします。
- Q税理士となる資格を有していれば、誰でもいつでも税理士業務を行うことができる。
- A
解答 ×
税理士業務を行うには、税理士名簿に登録を受けなければならない。
【税理士法】
(登録)
第十八条 税理士となる資格を有する者が、税理士となるには、税理士名簿に、財務省令で定めるところにより、氏名、生年月日、事務所の名称及び所在地その他の事項の登録を受けなければならない。
- Q弁護士であっても、税理士登録を行わなければ、税理士業務を行うことができない。
- A
解答 ×
弁護士及び弁護士法人等は、税理士登録をしなくとも、所属弁護士会を通じて、国税局長に通知をすることにより、その国税局の管内区域内において、随時、税理士業務を行うことができる(通知弁護士、通知弁護士法人等(弁護士・外国法事務弁護士共同法人を含む))(税理士法51条)。
- Q所属税理士が申告書を作成した場合であっても、必ず、開業税理士が納税者から業務の委嘱を受け、その開業税理士が申告書に署名しなければならない。
- A
解答 ×
所属税理士とは、 税理士法施行規則第8条第2号ロに規定する、税理士法第2条第3項の規定により税理士又は税理士法人の補助者として当該税理士の税理士事務所に勤務し、又は当該税理士法人に所属し、同項に規定する業務に従事する者をいう。
税理士又は税理士法人が税務書類の作成をしたときは、その税務書類を作成した税理士が当該書類に署名しなければならず、このとき、税理士である旨を付記するとともに、当該税理士が、税理士法人の社員である場合にはその所属する税理士法人の名称を、また所属税理士である場合には、その勤務する税理士事務所の名称又はその所属する税理士法人の名称を付記しなければならない。
【税理士法】
(登録に関する決定)
第二十二条 日本税理士会連合会は、前条第一項の規定による登録申請書を受理した場合においては、当該申請者が税理士となる資格を有し、かつ、第二十四条各号のいずれにも該当しない者であると認めたときは税理士名簿に登録し、当該申請者が税理士となる資格を有せず、又は同条各号のいずれかに該当する者であると認めたときは登録を拒否しなければならない。この場合において、次条第一項の規定による通知に係る者につき登録をしようとするとき、又は登録を拒否しようとするときは、第四十九条の十六に規定する資格審査会の議決に基づいてしなければならない。
2 日本税理士会連合会は、前項の規定により登録を拒否しようとするときは、あらかじめ当該申請者にその旨を通知して、相当の期間内に自ら又はその代理人を通じて弁明する機会を与えなければならない。
3 日本税理士会連合会は、第一項の規定により税理士名簿に登録したときは当該申請者に税理士証票を交付し、同項の規定により登録を拒否するときはその理由を付記した書面によりその旨を当該申請者に通知しなければならない。
4 日本税理士会連合会は、第一項の規定により登録を拒否する場合において、当該申請者が税理士となる資格又は第二十四条各号に規定する登録拒否事由に関する事項について、記載すべき事項を記載せず、又は虚偽の記載をして前条第一項の規定による登録申請書を提出した者であるときは、前項の規定による通知の書面においてその旨を明らかにしなければならない。【税理士法施行規則】
(税務書類等への付記)
第十六条 法第三十三条第三項に規定する財務省令で定める事項は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、それぞれ当該各号に定める事項とする。
一 税理士法人の社員が署名する場合その所属する税理士法人の名称
二 所属税理士が署名する場合その勤務する税理士事務所の名称又はその所属する税理士法人の名称
2 (省略)
3 所属税理士が他人の求めに応じ自ら委嘱を受けて法第二条第一項又は第二項の業務に従事する場合には、第一項第二号に定める事項に加え、直接受任(自らの責任において委嘱を受けて当該業務に従事することをいう。)である旨を付記するものとする。
(注)「法二条第一項又は第二項の業務」とは、「税務代理」又は「税務書類の作成」をいいます。
- Q税理士法人の社員税理士であっても、個人的に税理士業務を受託することができる。
- A
解答 ×
社員税理士には、競業禁止規定があり、納税者から直接委嘱を受けて、税理士法人の業務とは別に、個人的に税理士業務を行うことはできない。
【税理士法】
(社員の競業の禁止)
第四十八条の十四 税理士法人の社員は、自己若しくは第三者のためにその税理士法人の業務の範囲に属する業務を行い、又は他の税理士法人の社員となつてはならない。
2 税理士法人の社員が前項の規定に違反して自己又は第三者のためにその税理士法人の業務の範囲に属する業務を行つたときは、当該業務によつて当該社員又は第三者が得た利益の額は、税理士法人に生じた損害の額と推定する。
- Q納税者から業務の委嘱を受けた税理士が更正決定通知書を受領する行為は、税務代理に含まれない。
- A
解答 ×
更正決定通知書などの税務官公署に対してする主張又は陳述の前提となる税務官公署から納税者に対して発する書類等の受領行為は「税務代理」に含まれる。
【税理士法基本通達】
(税務代理の範囲)
2-3 法第2条第1項第1号に規定する「税務代理」には、税務官公署に対してする主張又は陳述の前提となる税務官公署から納税者に対して発する書類等の受領行為を含むほか、分納、納税の猶予等に関し税務官公署に対してする陳述につき、代理することを含むものとする。
(注)上記の「税務代理」に含まれる「税務官公署に対してする主張又は陳述の前提となる税務官公署から納税者に対して発する書類等の受領行為」には、国税通則法(昭和37年法律第66号)第117条第1項に規定する納税管理人又は同条第5項に規定する特定納税管理人が、その処理すべき事項として行う税務官公署から納税者に対して発する書類等の受領行為は含まれないことに留意する。
- Q税理士は、税務代理を行う場合において、税務官公署職員と面接するときは、税理士証票を提示しなければならない。
- A
解答 〇
【税理士法】
(税理士証票の提示)
第三十二条 税理士又は税理士法人が税務代理をする場合において、当該税務代理に係る税理士が税務官公署の職員と面接するときは、当該税理士は、税理士証票を提示しなければならない。
- Q税理士事務所が行った使用人の不正加担については、税理士がその責任を問われることはない。
- A
解答 ×
使用人等が、税理士に関する法令に違反する行為等を行った場合に、その一因が、税理士の使用人等に対する監督が十分でなかったと認められる場合には、その監督責任を問われることになる。
【税理士法】
(使用人等に対する監督義務)
第四十一条の二 税理士は、税理士業務を行うため使用人その他の従業者を使用するときは、税理士業務の適正な遂行に欠けるところのないよう当該使用人その他の従業者を監督しなければならない。
- Q税務職員が離職後、税理士となった場合には、一定の期間、税理士業務に制限が加えられる。
- A
解答 〇
税務職員を退職して税理士となった者は、離職後1年間は、その離職前1年以内に占めていた職の所掌に属すべき事件(離職後に職の所掌に属することとなったものを含む。)について税理士業務を行うことはできない。なお、「事件」とは、特定の調査、徴収、審理事務等を実施する、又は実施するか否かといった選定に係る判断、指示、決定等を行う対象となりうる納税者に係る案件をいう。
【税理士法】
(業務の制限)
第四十二条 国税又は地方税に関する行政事務に従事していた国又は地方公共団体の公務員で税理士となつたものは、離職後一年間は、その離職前一年内に占めていた職の所掌に属すべき事件について税理士業務を行つてはならない。但し、国税庁長官の承認を受けた者については、この限りでない。
- Q無償であっても、税理士でない者は税理士業務を行うことはできない。
- A
解答 〇
有償無償を問わず、税理士等でない者は、税理士業務を行うことはできない。ただし、法第50条から法第51条の2に定める場合を除く。
【税理士法】
(臨時の税務書類の作成等)→期間かつ租税を指定して許可(無報酬に限る)するもの
第五十条 国税局長(地方税については、地方公共団体の長)は、租税の申告時期において、又はその管轄区域内に災害があつた場合その他特別の必要がある場合においては、申告者等の便宜を図るため、税理士又は税理士法人以外の者に対し、その申請により、二月以内の期間を限り、かつ、租税を指定して、無報酬で申告書等の作成及びこれに関連する課税標準等の計算に関する事項について相談に応ずることを許可することができる。ただし、その許可を受けることができる者は、地方公共団体の職員及び公益社団法人又は公益財団法人その他政令で定める法人その他の団体の役員又は職員に限るものとする。
2 第三十三条第二項及び第四項、第三十六条並びに第三十八条の規定は、前項の規定による許可を受けた者に準用する。(税理士業務を行う弁護士等)
第五十一条 弁護士は、所属弁護士会を経て、国税局長に通知することにより、その国税局の管轄区域内において、随時、税理士業務を行うことができる。
2 前項の規定により税理士業務を行う弁護士は、税理士業務を行う範囲において、第一条、第三十条、第三十一条、第三十三条から第三十八条まで、第四十一条から第四十一条の三まで、第四十三条前段、第四十四条から第四十六条まで(これらの規定中税理士業務の禁止の処分に関する部分を除く。)、第四十七条、第四十七条の三、第四十七条の四及び第五十四条から第五十六条までの規定の適用については、税理士とみなす。この場合において、第三十三条第三項及び第三十三条の二第三項中「税理士である旨その他財務省令で定める事項」とあるのは、「第五十一条第一項の規定による通知をした弁護士である旨及び同条第三項の規定による通知をした弁護士法人又は弁護士・外国法事務弁護士共同法人の業務として同項の業務を行う場合にはこれらの法人の名称」とする。
3 弁護士法人又は弁護士・外国法事務弁護士共同法人(これらの法人の社員(弁護士に限る。)の全員が、第一項の規定により国税局長に通知している法人に限る。)は、所属弁護士会を経て、国税局長に通知することにより、その国税局の管轄区域内において、随時、税理士業務を行うことができる。
4 前項の規定により税理士業務を行う弁護士法人又は弁護士・外国法事務弁護士共同法人は、税理士業務を行う範囲において、第三十三条、第三十三条の二、第四十八条の十六(第二条の三及び第三十九条の規定を準用する部分を除く。)、第四十八条の二十(税理士法人に対する解散の命令に関する部分を除く。)及び第五十四条から第五十六条までの規定の適用については、税理士法人とみなす。(行政書士等が行う税務書類の作成)
第五十一条の二 行政書士又は行政書士法人は、それぞれ行政書士又は行政書士法人の名称を用いて、他人の求めに応じ、ゴルフ場利用税、自動車税、軽自動車税、事業所税その他政令で定める租税に関し税務書類の作成を業として行うことができる。(税理士業務の制限)
第五十二条税理士又は税理士法人でない者は、この法律に別段の定めがある場合を除くほか、税理士業務を行つてはならない。【税理士法基本通達】
(税理士業務)
2-1 税理士法(以下「法」という。)第2条に規定する「税理士業務」とは、同条第1項各号に掲げる事務(電子情報処理組織を使用して行う事務を含む。)を行うことを業とする場合の当該事務をいうものとする。この場合において、「業とする」とは、当該事務を反復継続して行い、又は反復継続して行う意思をもって行うことをいい、必ずしも有償であることを要しないものとし、国税又は地方税に関する行政事務に従事する者がその行政事務を遂行するために必要な限度において当該事務を行う場合には、これに該当しないものとする。
- Q税理士業務とは①税務代理②税務書類の作成③税務相談を業として行うことをいうが、②税務書類の作成の「作成する」には、自己の判断に基づいて作成しない、単なる代書も含まれる。
- A
解答 ×
税務書類の作成の「作成する」とは、自己の判断に基づいて作成することをいい、単なる代書は含まれないこととされている。
【税理士法基本通達】
(税務書類の作成)
2-5 法第2条第1項第2号に規定する「作成する」とは、同号に規定する書類を自己の判断に基づいて作成することをいい、単なる代書は含まれないものとする。
- Q税理士法2条の租税に関する法令には、通達は含まれないが、税理士法は含まれる。
- A
解答 ×
通達は法令ではないので含まれないのは当然である。税理士法2条の「租税」の意義からして、税理士法は「租税に関する法令」には含まれないと解される。税理士が納税者の税務代理をする場面において税理士法に基づく申告、申請、請求や不服申立て等に関して代理又は代行することは想定しがたい。
また、税理士法1条は、「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。」と規定している。税理士法に規定された納税義務の適正な実現を図るという表現は妥当ではないことからもこのような理解が支持される。
- Q戒告処分を受けても、税理士業務あるいは税理士の資格については特に制約を受けることにはならないので引き続き税理士業務を行うことができる。
- A
解答 〇
戒告処分は、税理士資格や税理士業務に制約を課すものではなく、引き続き税理士業務に従事することが可能である。ただし、税理士として、顧客等からの信用が失われる可能性がある。