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この記事でわかること(令和6年7月5日裁決(国税不服審判所))

短期間に相続が相次いだ場合の税負担軽減制度「相次相続控除」の適用要件である「10年以内」の起算点が争われた事案。第一次相続の後、長期間の養子縁組無効訴訟が続き、被相続人が実質的に財産を取得したのは死亡から16年以上後だった。

納税者は「実質的に相続税負担が確定した時期を基準にすべき」と主張。審判所は民法882条の「死亡の日」という鉄則を再確認し、第一次相続の死亡日を起算点とする判断を下した。

また、税務当局からの事前指摘を押し切って申告した際の「過少申告加算税」と「正当な理由」についても審判所が判断した。「借用概念」の解釈とリスク管理の重要性を示す重要な裁決。

短期間に相続が相次いだ場合の税負担を軽減する「相次相続控除」。その適用要件である「10年以内」のカウントは、一体いつから始まるのでしょうか?

以下の記事では、令和6年7月5日の国税不服審判所裁決を詳しく取り上げます。 この事案の特殊性は、第一次相続の後に「養子縁組無効訴訟」が長期間続き、被相続人が実質的に財産を取得したのが、死亡から10年以上経過した後だった点にあります。

「実質的に相続税負担が確定した時期を基準にすべき」と主張する納税者に対し、審判所が下した結論は、民法882条に基づく「死亡の日」という鉄則の再確認でした。

あわせて、税務当局からの事前指摘を押し切って申告した際の「過少申告加算税」と「正当な理由」の厳しい判断についても触れています。実務家が避けて通れない「借用概念」の解釈と、リスク管理の重要性を学べる内容です。

審判のポイント

①相次相続控除の「10年以内」の起算点
審判所は、相次相続控除の「10年以内」の起算点は、民法882条に従い「第一次相続の死亡日」であると判断した。実質的に財産を取得した日や相続税が確定した日ではない。

②「借用概念」の解釈—民法の定義が適用される
相続の開始など、民法に定義のある概念(借用概念)は、税法上の特別な理由がない限り民法の定義通りに解釈される。「死亡の日」は民法882条で定まっており、税法上の特別な解釈は認められない。

③過少申告加算税と「正当な理由」の判断
税務当局からの事前指摘を押し切って申告した場合、「正当な理由」による過少申告加算税の免除は非常に困難である。審判所は納税者の主張を退け、過少申告加算税の賦課を肯定した。

実務上の注意点

相次相続控除の適用要件である「10年以内」の判定は、民法882条に従い第一次相続の死亡日を起算点とする。訴訟の経緯や財産の実質的取得時期とは無関係。

相続開始日や相続人等、民法に定義がある概念は、税法上も原則として民法の定義通りに解釈される。税務上の独自解釈は原則認められない。

税務当局から事前に誤りを指摘されたにもかかわらず、独自の解釈で申告を行うのは大きなリスクを伴う。過少申告加算税の賦課を招く可能性が高い。

Q1. 相次相続控除の「10年以内」はいつから起算されますか?

民法882条に従い、第一次相続の被相続人の死亡日が起算点となります。訴訟の経緯や財産の実質的取得時期は考慮されません。本裁決でもこの鉄則が再確認されました。

Q2. 「借用概念」とは何ですか?税法解釈にどう影響しますか?

借用概念とは、税法が民法など他の法領域から借用した概念です。税法上の特別な理由がない限り、元の法領域の定義通りに解釈されます。相続の開始日(死亡日)は民法882条が適用されます。

Q3. 税務当局の事前指摘を無視して申告した場合のリスクは?

税務当局から事前に誤りを指摘されたにもかかわらず独自の解釈で申告した場合、「正当な理由」による過少申告加算税の免除は非常に困難です。本裁決でも審判所は納税者の主張を退けております。