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土地オーナーと同族会社が土地建物を一括売却する際、代金の配分を巡り大きな税務リスクが潜んでいることが、令和7年1月17日の大阪地裁判決で改めて浮き彫りになりました。

この記事のポイント

  • 事件:土地建物一括譲渡が対象の地主の譲渡所得計算(大阪地判令和7年1月17日判決)
  • 争点:「土地の無償返還届出書」提出済の場合、借地権の価値を譲渡対価から減額できるか否か
  • 結論:無償返還届出書があれば借地権の価値はゼロ、地主の譲渡対価を1全額益回性に計上(納税者敗訴)

本件の原告(地主)は、建物所有者である同族会社と共に約55億円で不動産を売却しました。申告時、原告は借地権割合等を考慮し、売却額の一部を「会社の借地権分」として差し引いて譲渡所得を計算しました。しかし、税務署は「借地権の価値はゼロ」として増額更正を行いました。

裁判の鍵を握ったのは、過去に提出されていた「土地の無償返還届出書」です。

裁判所は、この届出がある場合、経済的価値は地主に留まっており、借地人に借地権は移転していないと認定「将来タダで返す」という約束を自ら税務署へ届け出ていた以上、売却時になって「借地権に価値がある」と主張し、代金を分けることはできないと結論づけました。たとえ借地権割合の高い商業地であっても、税務上の届出が優先されるという、実務上極めて重い教訓となる判決です。

本判決の詳細は以下の記事をご確認ください。

裁判所の判断ポイント

  • 無償返還届出書を提出した場合、土地の経済的価値は地主に留まり、借地人に借地権は移転していない
  • 「将来タダで返す」と税務署へ届け出ていた以上、売却時に「借地権に価値がある」と主張することはできない
  • 借地権割合の高い商業地であっても、税務上の届出内容が優先される

実務上の注意点

同族会社との土地賃貸時に無償返還届出書を提出している場合、将来の譲渡時に借地権割合分の対価減額は認められません。届出内容が実後の譲渡対価の配分に直接影響するため、届出時に十分な税務検討が必要です。

Q1. 無償返還届出書を提出している場合、土地を売ったときに借地権割合分の価値を譲渡対価から減らせますか?
減らせません。無償返還届出書がある場合、借地権の経済的価値はゼロと認定され、譲渡対価の全額が地主の譲渡所得となります。
Q2. 無償返還届出書の内容が税務上の譲渡対価の配分に影響するのですか?
はい。届出内容が優先され、届出後に借地契約の実態が変わっていたとしても、税務上は届出内容に基づき判断されます。
Q3. 届出をしていない場合は借地権有價届出とおなじ扱いとなりますか?
無償返還届出書の有無によって扱いが異なります。届出がなければ借地権を認定した課税関係が発生する場合があります。賃貸契約時からの税務検討が重要です。