undefined
デリバリーヘルス(デリヘル)事業において、行政への届出名義人と実際の経営者が異なる「名義貸し」の状態で課税が争われた最新の裁決事例(国税不服審判所裁決令和6年1月9日)をご紹介します。
この記事でわかること(令和6年1月9日裁決(国税不服審判所))
デリバリーヘルス(デリヘル)事業で、行政への届出名義人と実際の経営者が異なる「名義貸し」が問題となった裁決事例。会社員の請求人が親族のために営業許可や口座の名義を貸していたところ、税務調査により多額の申告漏れを指摘され、重加算税等の賦課決定処分を受けた。
最大の争点は、事業所得が「名義人(請求人)」と「実質的経営者」のどちらに帰属するかでした。
審判所は実質所得者課税の原則(所得税法第12条)に基づき、所得は請求人に帰属しないと判断。一方、隠蔽仮装が認められないとして重加算税の賦課決定処分を一部取消とした。
本件は、会社員の請求人が親族のために営業許可や口座の名義を貸していたところ、税務調査により多額の申告漏れを指摘され、重加算税等の賦課決定処分を受けた事案です。最大の争点は、事業所得が「名義人(請求人)」と「実質的経営者」のどちらに帰属するかでした。
国税不服審判所は、所得税法第12条の「実質所得者課税の原則」に基づき精査。採用や資金管理の決定権が実質的経営者にあったことや、請求人は補助的な業務に従事し利益の大部分を享受していなかった実態を認め、「所得は請求人に帰属しない」と判断しました。結果、課税処分が取り消されるという、納税者にとって画期的な結論となっています。
一方で、注目すべきは「修正申告の錯誤」に関する厳格な判断です。一度提出した修正申告について、請求人は「誤った説明を信じた錯誤による無効」を主張しましたが、審判所は「錯誤が客観的に明白かつ重大とはいえない」と退けました。名義貸し解消の難しさと、初期対応における申告の重みを再認識させる重要な裁決です。
詳細は以下の記事で。
審判のポイント
①実質所得者課税の適用
所得税法第12条の「実質所得者課税の原則」に基づき精査。採用や資金管理の決定権が実質的経営者にあったこと、請求人は補助的な業務に従事し利益の大部分を享受していなかった実態から、「所得は請求人に帰属しない」と判断した。
②重加算税の賦課決定処分を一部取消
隠蔽仮装が審判の場で認められなかったため、重加算税の要件を満たさないとして賦課決定処分を一部取消とした。納税者にとって画期的な結論。
③修正申告の錯誤に関する判断
一度提出した修正申告について請求人は「誤った説明を信じた錯誤による無効」を主張したが、審判所は「錯誤が客観的に明白かつ重大とはいえない」としてこれを退けた。名義貸し解消の難しさと、初期対応における申告の重みを再認識させる重要な裁決。
実務上の注意点
名義貸しは、名義を貸した側(実際の経営をしていなくても)が税務調査の対象となり、申告漏れや重加算税の賦課決定処分を受けるリスクがある。
一度提出した修正申告について、錯誤による無効の主張が認められるケースは限定的であり、初期の申告対応が非常に重要となる。
所得税法第12条の実質所得者課税の原則は、形式的な名義ではなく実質的な経営・収益享受者に課税することを定めており、税務調査においても積極的に適用される。
Q1. 実質所得者課税の原則(所得税法第12条)とは何ですか?
所得税法第12条に定める原則で、形式的な名義ではなく実質的に所得を支配・享受している者に課税するという原則です。本件では、採用や資金管理の決定権が実質的経営者にあったと認められ、審判所は「所得は請求人に帰属しない」と判断しました。
Q2. 名義貸しをすると税務上どのようなリスクがありますか?
名義を貸した側が税務調査の対象となり、申告漏れや重加算税等の賦課決定処分を受けるリスクがあります。実際に経営していなくても、名義上の申告義務や納税責任を追われる可能性があります。
Q3. 修正申告の錯誤無効の主張はどのような場合に認められますか?
錯誤が客観的に明白かつ重大である場合に限られ、非常に厳格に判断されます。本裁決では、請求人が「誤った説明を信じた錯誤」を主張したが、審判所は「客観的に明白かつ重大とはいえない」として退けました。





