代表取締役への貸付金が膨らみ、銀行融資や決算対策のために「帳簿上の数字を消したい」という誘惑に駆られるケースは少なくありません。しかし、実態を伴わない操作は極めて高い税務リスクを伴います。
東京地裁令和6年11月7日判決は、ODA関連事業を行う法人が、関連会社へ「前払金」として送金した直後に、ほぼ同額を代表者から「貸付金の返済」として受け取った事案です。裁判所は、短期間での資金循環や関連法人の資金力の欠如を指摘し、この一連の流れを「原告自身の資金を還流させただけの架空取引」と断じました。
その結果、帳簿上の減額処理は実質的な「債務免除」であり、役員に対する「賞与(給与所得)」に該当すると判断されました。さらに、返済を装う外形を作出したことは「事実の隠蔽・仮装」にあたるとして、重加算税の賦課も適法とされました。形式を整えても、資金の原資と経済的合理性が欠如していれば、税務当局の厳しい追及を免れないことを示す教訓的な事例です。
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