日本には自発的な修正申告、期限後申告を促す制度がありますが、米国の「Streamlined filing compliance procedures」の制度と比較するのも面白いと思います。
意図的でない誤りや過ちを、より少ないペナルティとより簡素化されたプロセスで修正することを促すような制度です。
Streamlined filing compliance procedures(合理化された申告コンプライアンス手続)とは、海外からの所得や金融資産を誤って申告しなかった納税者を対象に、IRSが提供するプログラムです。 このプログラムを利用すれば、故意によるものでない限り、重い罰則を科されることなく、税金の申告を修正することができます。 知っておくべきことは以下の通りです。
このプログラムの目的は?
- 故意ではなく、過失や誤解により所得や海外金融口座を申告しなかった人向けの制度です。
- この制度を利用することで、未提出の確定申告書の提出や修正申告、罰金の簡素化が可能になります。
利用できるのは誰か?
- 遺産を含む個人納税者。
- 米国内在住者および米国外在住者。
- 故意ではなく(過失や税法の誤解などによる)過失であったことを証明する必要があります。
利用できないのは?
- IRSがすでに何らかの税務関連事項について、あなたを監査または調査している場合。
- 過失が故意の行為(意図的な脱税行為)による場合。
主な特徴は?
- 厳格な収入基準なし:納税額の多寡に関わらず、どなたでも申請できます。
- 簡素化された申告プロセス:複雑な監査プロセスを経ることなく、過去の過ちを修正できます。
- 自動監査なし:提出書類は審査対象として選ばれる可能性はありますが、保証されているわけではありません。
適格性の重要なポイント:
- 有効な納税者番号(社会保障番号など)が必要です。
- すでに支払った過去の罰金は返金されません。
- 簡素化された手続きを完了した後、今後は正しく確定申告を行う必要があります。
刑事告発を懸念している場合:
- もし、ご自身の過ちが故意によるものだった可能性があるとお考えの場合は、代わりにIRSの自主開示プログラムを検討すべきでしょう。このプログラムでは刑事訴追の可能性を排除できますが、より厳しい条件が課せられます。
申告後の手続きは?
- IRSは確認通知を送付しませんが、必要に応じて提出書類の監査を行う可能性があります。
- 監査の過程で不正確な点が見つかった場合、追加の罰金や刑事責任を問われる可能性があります。
プログラム間の切り替えは可能か?
- すでに終了したオフショア自発的開示プログラム(OVDP)を開始している場合、条件を満たせば簡素化された手続きに切り替えることができます。
コンプライアンスの選択肢:
- 簡素化された手続き:故意でない過失の場合。
- 自発的開示手続き:故意の行為の場合。
- 未提出のFBAR提出手続き:未提出の外国口座報告書の場合。
- 未提出の国際情報申告:その他の必要な国際申告書の未提出の場合。
ただし、次の記事も参考にして、より深く検討する必要がありそうです。