コロナ禍の事業継続を支えた「事業復活支援金」ですが、受給後に要件を満たさないことが判明し、自主返還を行うケースが増えています。この際、実務上の大きな論点となるのが、**「返還額を受給した年の所得から差し引けるのか(更正の請求ができるのか)」**という点です。
令和6年5月20日の国税不服審判所裁決では、この問題に対し明確な判断が下されました。結論から言えば、**「受給した年は総収入金額に算入し、返還した額は実際に返還した年の必要経費にする」**のが正当であるとされました。
裁決のポイント
- 担税力の重視: たとえ後に返還することになっても、受領した時点で「利得を支配管理」している以上、受給年の収入として扱うべきである。
- 更正の請求は不可: 受領時の申告は適法であり、後からの修正(更正の請求)は認められない。
- 資産損失の適用: 返還金は、所得税法第51条第2項(資産損失)に基づき、**「現実に返還した日」**が属する年分の必要経費として処理する。
納税者側は「銀行預金は資産損失の『資産』に当たらない」と主張しましたが、審判所はこれを退けました。支援金の返還を検討、あるいは実施した個人事業主や税務担当者にとって、申告時期を誤らないための重要な指針となる事例です。
裁決の詳細は以下の記事を参照してください。
