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外国法人へ使用料や役務提供の対価を支払う際、源泉徴収のタイミングに迷ったことはありませんか? 「契約上の支払期日は先だから、今の送金は『前払金』扱い。源泉徴収は期日が来てからでいいだろう」……。 もしそう考えているなら、不納付加算税のリスクがあります。

ケース概要&争点・結論

  • 裁決日:令和6年8月6日(国税不服審判所)
  • 事案:外国法人へのソフトウェア使用料を契約上の支払期日前に送金。請求人は前払金と主張したが不納付加算税を賦課された
  • 争点:支払期日前の送金における源泉徴収義務の発生時期は「現実の送金日」か「契約上の支払期日」か
  • 結論:現実に送金した日が「支払日」となり源泉徴収義務が発生。審査請求棄却

令和6年8月6日、国税不服審判所は「支払期日前であっても、現実に送金した時点で源泉徴収義務が生じる」という重要な判断を下しました。

事案のポイント:なぜ争いになったのか?
請求人は外国法人に対し、ソフトウェア使用料を契約上の支払期日(7月1日)より前の「6月30日」に送金しました。

請求人の主張: 6月30日時点では支払債務が確定していない「前払」であり、源泉徴収義務はない。

審判所の判断: 送金によって債務は消滅しており、期日前の支払は「期限の利益の放棄」にすぎない。送金した「6月30日」が支払日となる。

実務への教訓:翌月10日の「期限」が変わる
この裁決の恐ろしい点は、1日の差で法定納期限が1ヶ月前倒しになったことです。

6月30日支払(判定)⇒ 納期限:7月10日

7月 1日支払(予定)⇒ 納期限:8月10日

結果として、請求人は納期限を1ヶ月勘違いしたことになり、他の給与分も含めて「不納付加算税の免除規定」が受けられないという痛い結果を招きました。

まとめ
「前払だから」という理屈は源泉徴収実務では通用しません。「1円でも動かした日が支払日」という原則を徹底し、海外送金の際は必ずカレンダーを確認しましょう

裁決の詳細は以下の記事を確認してください。

審判所の判断ポイント

  1. 送金により債務は消滅する:期日前の支払は「期限の利益の放棄」にすぎない。現実に送金した日が実質的な「支払日」となる
  2. 1日の差が納期限を前倒し:6月30日送金→納期限は7月10日。予定通り7月1日送金なら納期限は8月10日だった
  3. 不納付加算税免除規定の適用不可:1日の誤認が他の給与分も含め全体の不納付加算税免除を受けられなくなった

外国法人への源泉徴収実務の注意点

  • 前払金であっても現実に送金した日が源泉徴収の「支払日」となる。送金時に必ず源泉徴収を行う
  • 法定納期限は送金日の翌月10日。契約上の支払期日ではなく「現実の送金日」を基準に納期限を管理する
  • 期日前送金は避けるか、行う場合はその日に源泉徴収を完了する。たった「1日」のミスが重大なペナルティに繋がる
Q1. 外国法人への前払送金でも源泉徴収は必要ですか?
令和6年8月6日裁決では、現実に送金した日が「支払日」となり源泉徴収義務が発生すると判断されました。契約上の支払期日より前に送金した場合もその日に源泉徴収を行う必要があります。
Q2. 源泉徴収の法定納期限はいつですか?
源泉徴収した税金の納期限は「支払日」の属する月の翌月10日です。契約上の支払期日ではなく「現実の送金日」を基準に納期限を管理することが重要です。
Q3. 1日の送金が早まっても不納付加算税になりますか?
本件では6月30日の送金により納期限が1か月前倒しになり、他の給与分も含め不納付加算税免除規定の適用を受けられなくなりました。